2014年11月6日

マカロンとシンデレラ

 さく、ふわ、ぬちゃ、しゃららら。強烈な甘さと香りを残して舌の上で溶けてゆくそれはフランスの焼き菓子マカロンである。

 本当はバイト先の婦女子たちにおみやげをばと思っていたのだが、どっこい価格が予想の倍はしたので断念し、別の小さな、価格も手頃な焼き菓子を買うことで代わりとした。とはいってもマカロンを買いたい。バイト先へのおみやげのためというのは半分嘘で、本当は僕自身が一度どんなものか食べてみたかったのである。というわけで食べた。自分と、その時一緒におみやげを選んでもらっていた友人とで一つずつ食べた。僕はローズ、友人はキャラメルのマカロン。それはとても不思議な食感と味だった。

 僕はまず匂いを確かめる。ふむ? 思ったよりローズっぽい香りはしない。ほとんどただのクッキーみたいな匂いだ。ふくらんでいた味の想像に補正がかかる。もしかしたらあんまり甘くないのかな。なんて考えて一口かじると、なんてこった。なんだこいつは。突然で悪いけど、そのとき僕はバイト先の女の子のことを考えた。

 同じアルバイト先で働いている同い年の女の子、仮にMさんとする彼女を僕は土日のシンデレラと読んでいる。Mさんは基本的に土日しか出勤しないので、時間限定でお姫様になれるあの寓話にちなんで僕がこっそりそう命名した。

 Mさんは甘いものが好きである。この間アルバイトの他の婦女子の方が差し入れてきたコストコのアメリカ的激甘ネチョネチョクッキーも喜んで食べていたくらいだし、それに加えて少しふくよかな体付きから察するにやっぱり甘いものは好きなのだろう。

 なぜMさんのことが突然頭に浮かんだのだろうか? それはたぶん、Mさんにまず食べてもらいたいと感じたからじゃないだろうかと思う。やっぱりおみやげに買っておくべきだっただろうか。うーん……。

 ま、いいか。

 今度会った時に誘ってみよう。「マカロン食べてお茶しませんか」って。お店は地元にもいくつもあるのだ。それに、それくらいの甲斐性は僕にもあるだろう、きっと。

 マカロンは女の子の味がする。
 
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 マカロンはLADUREEというお店で食べました。本当はピエール・エルメ・パリに行ってみようと思ってたのですが時間逃してしまうというミス……。でもLADUREE美味しかったです。

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