2015年2月2日

寒さについて

 寒さにもいろいろある。

 まあそんなことを言いつつ僕なんかは寒さを逃れて布団にもぐる生活をしているわけだけど、それでもやっぱり、寒いときは寒い。

 たとえば朝。起床をうながす目覚まし時計の音が、羽毛布団越しにくぐもって聞こえる。顔と手だけを出してそれを止めると、肌の表面をさっとなでるようにひんやりと寒さが覆う。僕の意識がつめたい手のひらに触れられて覚醒しそうになる。でも、別にいい。覚醒したくない。なんてつい思ってしまって、また布団の中にすっぽりと丸まって収まるのだ。そして、また眠る。

 たとえば夜。終電間際の地下鉄を降りて地上にあがるときの、街ぜんたいの細胞がしんと寝静まったような寒さ。冷え切って固まった空気をかき乱すように自転車をこぐと、僕が風を起こしているんだ、僕がはじまりの風だって気分になって、気持ちがいい。

 寒さにはいくつか段階があると思う。
 なめらかな、なでるような寒さ。
 ぴんと張りつめた寒さ。
 それから、刺すような寒さ。
 刺すような、ってところまでならわかる。よくある。でも僕はそんなに大した寒さを知らないから、それ以上はわからない。想像するしかない。

 ロシアのオイミャコンという村が世界一寒いとか言われている場所らしい。寒さを通り越してなんだか痛そうだ。あえて言葉にするなら「割れるような」寒さとか? ああ、なんだか本当に痛そうだ。

 寒さについて考えているとなんだか寒くなってきた気がする。

 なーんて。

 そんなことを言いながら僕はぬくぬく、暖房のきいた部屋で、一人でまどろみを待っているだけだ。

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