2014年9月29日

オトコノココンプレックス

「素以さん優しいですね」

 え? そんなふうに思われてるのか。バイト先の女の子ににっこり笑いかけられて僕は戸惑った。

 そんなつもりはなかったけど、そう言われるってことはきっとそうなんだろう。お世辞にしても、多少はね?
 僕が異性に優しくするのは、その人に優しくされたいからというよりは嫌われるのが怖いってところがあると思う。

 それってどうなんだ?

 行為そのものは親切でもその内側にあるものが不純ならそれは果たしていい行いだろうか?

 嫌われるのが怖い、っていうのは心の壁みたいなものだ。僕が女性に対して抱いている「よくわからない」という意識のせいで、僕は必要以上に「女性」を意識し、「男性とは異なるもの」と感じ、ビビって距離を置く。僕の中には男女のあいだに大きな壁があるのだ。

 僕が女性に対して壁を作っているということ、それ自体が女性に対して失礼だと思う。本当は男と女ってそんなに違わないはずなのだ。そりゃ身体的な差異は決定的なものだし、それに社会的区別のなかで育つうえで考え方とか感性とかいろいろ違ってくるものはあるんだろうけど、そういう違いって毎日常にずっと意識すべきものじゃない。ときどき「あぁ、違うんだな」って感じる程度でいいはず。それは「男/女」に関わらず、個人間に認められる程度の差異。男と女の違いって、きっとその程度なのだ。

 わかってはいる。だけど心から「壁なんてない」と信じることは、僕には難しい。なぜなら経験的に僕は女性との関わりを持ってこなかったし、女性を知らないのだ。思春期をうまく乗り越えられずこじらせてしまった結果そうなっているのだろうけれど、今更になってこのことが僕を罪の意識に苛む。申し訳なさで胸がいっぱいだ。

 なんというか、僕は苦手な人が多い人間だけど、できるだけ多くの人と分け隔て無く良好な関係を築きたいって思う。本当だよ。

 僕はあまりに人を知らなすぎるから、人を怖がっているだけなのかもしれないし。

 幽霊の正体見たり枯れ尾花 ってね。

0 件のコメント:

コメントを投稿