2016年5月31日
新豚
恋というものが落ちるものであるならばきっと恋にも重さがあるのだろう。もちろん豚にも。 久しぶりに降った豚はまるまる太って大きく、そしていつまでも降り続いた。思い立ってテレビのニュースをつけるとちょうど天気予報が流れているところで、そこには画面いっぱいに豚の笑顔がスタンプされ...
2016年5月28日
おむつ姫
自分の行いがどういう結果をもたらすか、少しは考えろ。ノリと勢いと煩悩だけで生きてるバカども。世の中には決定的に取り返しのつかないことっていうのがあって、それがまさにこの状況なのだといい加減学べばいい。 教室の黒板の前で、沙姫が床にへたり込み泣いている。声を上げずに引き攣る...
ロロ「あなたがいなかった頃の物語と、いなくなってからの物語」

2016年5月8日
透明な檻
眠りを知らない喧騒のなかで、人々は夢を見ないでいられることに安心している。夜は程良い酩酊に満ち、歩く人の足取りは覚束ない。私もたぶん、同じなんだと思う。他人の顔のなかに鏡のように映る私自身を見たくなくて、顔を伏せながら歩く。 うるさい街。 今日も中央線のダイヤが乱れてい...
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